『ホラ吹きは泥棒の始まり』
2025-04-22


<新作落語「ホラ話」>

熊:隠居、いるかい。
隠:おや、熊さんじゃないか、今日はフルバンドの練習日じゃなかったのか。
熊:バンド?あのバンドはもう行かねえ。
隠:行かないって、何かあったのか。
熊:ああ、このあいだバンドの連中と飲んだとき、「俺はニューオリンズで20年、ニューヨークで20年、ジャズ修行をした」って言ったんだ。
隠:おいおい、熊さん今年幾つだ。
熊:そしたら連中、俺をホラ吹きだって言いやがった、俺はトロンボーンは吹くが、その、ホラ、ってのは吹かねえって、言い合いになって。
隠:待ちな、熊さんは、そのホラが何か知らないんじゃないか。
熊:ホラって、ほ〜らウソついた、のホラじゃねえのか。
隠:ホラとは仏教用具の法螺貝(ほらがい)のことだ、山伏が持ってるのを見たことがないかな。
熊:どんなんだい、そりゃ。
隠:20cm以上もある巻貝の尖った方に穴をあけ、そこに吹き口を付けて大きな音を出す、魔除けや野獣除けの役目をするんだ、そこから、出来もしない大きなことを言うのを、ホラを吹くと言う。
熊:ふーん、じゃ、そいつは音を出すんだ。
隠:ああ、スティーブ・トゥーレというトロンボーン奏者は、法螺貝を吹くCDを出してる。
熊:へー、じゃ俺もその法螺貝を吹いてみようかな。
隠:いやいや、小さいものでも数万円から、数十万円、とても熊さんの貯金で買えるシロモノじゃない。
熊:てやんでぇ、俺のご先祖様はルパン三世だ、貯金は100億円ある。
隠:なるほど、確かに熊さんは、ホラを吹くのがよく似合う。

そこで本日のひと言、
『ホラ吹きは泥棒の始まり』

本日の当プログへのアサブロ・アクセスランキング 202位)
[ジャズ]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット